企業参謀 大前研一|経営ノート

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企業参謀 戦略的思考とは、ものの本質を考える

スッキリ好き

 

ものの本質を考える

ものの本質を考える時の、問題に取り組む姿勢と方法は「設問のしかたを解決策志向的に行うこと」である。個人的には、正しい質問ができれば正しい答えの80%は出ていると考えている。

 

いろいろな組織や上司のもとで働いていると、この「設問のしかた」がいかに重要かがわかる。できる人間(つまり成果を出す人間)の設問のしかたはクリアだ。一方、できない人間(成果から遠い無駄な時間を人から平気で搾取する非生産的人間)の設問のしかたはザックリしている。

 

大前研一氏が投げかけているように、日本企業には設問のしかたが間違っているため、生産性の低い現場が多い。

 

今日のトップの座にある人々の中には、あまりにも本質をはずれたところで、大いなる苦しみをみずからに課し、かつ、大号令のもとに、優秀なる部下の大部分を徒労に終わらせている者が多いのではないか?

 

その通りである。例えば、よくある質問。

利益が年々落ちているという現実があるとする。そのような時に「なぜ利益が落ちているのか」と考えるのは当然であるが、その先の設問のしかたは大きく分けて2種類存在する。

 

A.なんで利益が落ちているんだ?利益を上げるために何をすればよいのか?

B.年々支出が多くなって利益を下げている。販管費は変化がないが仕入れの費用が年々上がっている。仕入れの費用が利益を落としている原因なのか?

 

Aは解決策志向的ではないので、正解が出ないか正解が出るまでに時間がかかる。Bは解決策につながるような設問のしかたなので、素早く正解が出る可能性が高い。

 

多少遠回りだと思えても、ものの本質にもとづいて事象をバラバラにしなければ最善解は出てきづらい。Bの設問のしかたは「仕入れの費用」というエレメントのひとつを仮説としてあげたうえで、 答えを求めようとしている。

 

仕入れの費用の増加だけが利益減少の原因ではないかもしれない。ただし、利益を利益(¥)=収益(¥)-費用(¥)というわかりやすい式にしてエレメントを分解しているので、Bの設問のしかたは本質からは外れていない。

 

解決策志向的な設問のしかたができるようになるためには、訓練するしかない。常にものの本質を考える訓練である。私自身も日々是精進である。

 

ただし、解決策志向的な設問のしかたができれば100%最善解が出るわけでもない。設問のしかたと答え方が戦略的思考でなければならない。最後にこの一文を引用するが、これは仕事で成果をあげる(生産性を向上させる)基本の思考方法である。

 

「戦略的」と私が考えている思考の根底にあるのは、一見混然一体となっていたり、常識というパッケージに包まれてしまっていたりする事象を分析し、ものの本質にもとづいてバラバラにしたうえで、それぞれのもつ意味あいを自分にとってもっとも有利となるように組み立てたうえで、攻勢に転じるやり方である。

 

At all times , challenge your-self to think creatively and find new solutions.